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いくらだろう?
日本の歴史を感じる建物が並んだ街並み。
着物を着た人や地域名物のお菓子を食べ歩きをしている人で賑わっている。
雲1つなく澄んだ青空の日には、風は冷たいがお出かけ日和になるんだろう。
買い物ついでに立ち寄った観光地であり行くまでにも、かなり距離があった。
「天気良いから行こう!」
夫の少年のような笑顔と一言で決定した。
初めて訪れた場所だが、観光客で賑わい明るい雰囲気であるものの建物や街の作りに風情がある。
また、野菜や果物を使ったお菓子や焼き団子などが販売されており甘い香りが漂っている。
「サツマイモのソフトクリーム買ってきたよ。」
『ありがとう。わぁ〜芋色だ。」
サツマイモを表現した黄色と紫色をしたソフトクリームは色合いが綺麗で食欲をそそられる。
味も芋の風味とアイスの甘味が合わさって美味しい。
「すごいイモを感じる。」
『そうだね。今日は連れきてくれてありがとう。』
「いや、急に思い立っちゃったからさ。」
『そうだね。街を歩くって聞いたら薄着で来なかった。』
近所のスーパーに買い物に来ていたが、寒空の中を歩く観光をしている。
買い物くらいならと薄いパーカーに半袖の薄着を着てラフな格好で出掛けてしまった。
しかも、化粧もせずすっぴんのままだ。
世の女性だったら怒っている案件だろうな。
「…ハッ!!そうだ、今日すごい薄着だね!」
『こだわりのある女性だったらキレてるね。でも楽しいからいいや。』
ソフトクリームを食べながら震えていると、夫が待っててと言ってどこかへ出掛けた。
大人しく待っていると、息を切らした夫が紙袋を持って帰ってきた。
ごめんと言われ差し出された袋を受け取り、中を確認してみると朱色のマフラーが入っていた。
無地でシンプルだが、生地の作りがきめ細やかで触り心地が良い気がする。
『これは…。』
「さっき歩いてたら四海さんに似合いそうだなって思ってさ。でも、それは薄着で無理矢理来させたからプレゼントしなさいって天からの指令だったんだ。」
『……フハッ!』
思わず吹き出してしまった。
急にいなくなってマフラーを買ってきたと思ったら天からの指令と言われて驚いた。
会った時から突飛な考え方をする人だと思っていたけど、ここまで面白いとは思わなかった。
『フフッありがとう。あったかいです。』
「いや本当にごめん!気が利かなかったね。」
『そんな事ない。面白いものが見れた。』
「へ?」
しかし、このマフラー本当に暖かいな。
…幾らしたんだろう。
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