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 その白い蛇を助けた晩、おかしな夢を見た。  白い着物を着た女の人が、同じく白い着物を着た小さな男の子の手を引いて、どこからかやって来た。  見覚えのない二人だった。  「娘よ、お礼に参りました。」  女の人は、澄んだ鈴の音色のような声で言った。  「お礼?」  私にはこの二人を助けた記憶などなかった。  「ほほほ。昼間、小さな白い蛇を助けたでしょう?」  「え?ああ…あの、アルビノの?」  「あの蛇はこの子なのです。私の末の子、まだ、逃げる術さえ持たぬ幼子です。あのままでは、早晩、死んでしまっていたことでしょう。そうなれば、この子の魂は穢れ、禍つ神となりましょう。」  女の人は眉を寄せ、傍らの子どもの手をぎゅっと握りしめた。  「禍つ神?」  神様になるのであればいいような気がするけど、その口ぶりから、あまりいいことではないらしい。  「禍つ神は、災いを齎す恐ろしい神。厭われ、恐れられ、永遠に彷徨うしかない哀しい神。そのようなものに我が子をしたくはありません。ですが、私の力は強すぎる故、あの人の子らを傷つけるやも知れぬ。何か良い手立てはないものかと思うていたところへ、そなたが現われたのです。」  「姿かたちが変わっているからって、いじめられてもいいとは思わなかったから…まあ、私自体が変わりものって言われてるから、今さらアルビノのへびを助けたくらいで何も変わらないし。」  あだ名が一つ二つ増えるだけで、何も変わらないのだ。  母が忙しく働いているのも、二人きりの生活なのも、何一つ変わることはない。    
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