いざ初級者用ダンジョンへ

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お兄ちゃんが、ビクビクと苺花の両脇に引っ付いている私たちを見て、男子組に注意してくれた。 これでも、腰を抜かさないだけ成長したんだよ? 「あぁ、俺はそういうホラー話が全然平気だから、実体がない見たこともないオバケ信じてないんだ。無神経だったな、すまん。」 「ごめんね?ファンタジー世界に来たから、つい。そりゃ、ここが魔法だの使えるファンタジー世界だからって、苦手なオバケが急に平気にならないよね~?」 真島君は、なんと言うか心霊を無意識の気合いでカウンターパンチしてそうな精神ステンレス製っぽいし、野々宮君は肝心な所がウッカリさんぽい……別名ポンコツとも言う。 その後、罰として同い年男子ーズにはマッピング係と毒味役を代わって貰った。 というのも、市販の大まかな通路だけの地図にあった突き当たりで、一番目の印を見付けたので回収してたら、柿のような木の実を発見したのよ。 匂いも色形も柿だし、城の図書室で描き写した中に似たのが有ったんで、毒消し片手に野々宮君にかじって貰った。 「むっ!!?………か、辛ぁい!!!?なんらこれ、とうがりゃしか!?」 「うん?真っ赤なのは辛いけど、この黄色なのは甘いな。けど果物じゃなくて、パプリカっぽいなぁ?」 「どれどれ?おぉ?緑なのは梨みたいな味がするだと!?」 辛いだけで安全そうだと気付いたお兄ちゃんも、毒消し片手にちょっとずつ齧ってみた結果、柿のような実なのに赤いと激辛トウガラシ、黄色だとパプリカ味で、何故か緑になると一気に別物のフルーツ系になるとわかった。 ちなみに、真っ黒なのが有ったからつつこうとすると、アリのような虫がビッシリ付いてて黒く見えてただけだったので、女子三人で咄嗟に数メートル飛び退いたのだった(笑) 「赤いのは辛すぎて食べられないけど、緑のは一個ずつ女子でおやつに食べな。水分補給しとかないと脱水状態で倒れたら困るだろう?」 男子達は、取り敢えず自分の持ってる柿もどきを食べて、新たに私達に梨みたいな味の実を採ってくれた。 野々宮君は一口でギブアップして、カバンに仕舞いこんでたけど、お兄ちゃんと真島君はちゃんと食べられたようだった。 気が付くと、かなりAチームは先に行ってたみたいで声も聞こえなくなっていた。 森の木が邪魔で音を遮って居るのもあるだろうけど、見失うと何となく不安になってくる。 「あ、アイツ等右に行ったのか?まっすぐか?どっちだよ!?」 「えっと、仁先輩。地図だと右は行き止まりみたいっすよ?」 まずいよ、これは!! あのチャラ男先輩達、ろくに通路や周りの植物や何かもスルーしてあっちへこっちへ適当に進んでるみたい。 さっきまでチラチラ草むらつついてる姿が有ったのに、木の実に気を取られた数分間で視界から消えちゃった!! 「アイツ等~目的忘れてないか?印と色んなポイントのメモどうするんだよ。」ブツブツ お兄ちゃんが一蓮托生なのにと嘆いている。 ………は!!?えっと、あのチャラ男先輩達と私達、同じグループのくくりなの!? 「ひにゃーー!!!!さ、探すんだよぉ!!ギャル娘先輩が虫にブチキレてなんんかしでかす前に!!!」 「そうなったらそうなったで、場所がわかって良いかもね。って冗談よ、泉。」 腰抜かしてる場合じゃなかった!! いつものノリでその辺の生き物つついたり、迷子になったり、毒消しなしで元の世界のフルーツに似てるとバクバク食べたら大変だよ。 何処に行った!? いっそこの木を全部伐採すれば、見通しよくなるかな!? ギュッと自分の持ってるハンドアクスを握り直してみる。
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