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#2 「世の中にふたつとして同じダイヤモンドはない」
今まで私がアリサちゃんから聞いた
面白かった話は数知れずだけど
やっぱりウッチーはウッチーだな、と
あらためて思ったものを。
婚約指輪と結婚指輪の話だ。
実はアリサちゃん、
男性からアクセサリーをプレゼントしてもらうのは
ウッチーからが初めてである。
『アリサちゃんの初めて』という言葉に
異常なテンションを持つウッチーは
指輪選びにありとあらゆる
ジュエリーブランドを候補にあげた。
中でも面白かったのは
ハリー・ウィンストンでのことだ。
ウッチーの夢として
『結婚指輪はハリー・ウィンストンもしくはカルティエ』
という、乙女のような憧れがあって
ブランド名に怯えるアリサちゃんを
『落ち着け、食われたりしないから』と宥め
来店予約を取り付けた。
完全に引き腰になっているアリサちゃんに
コウさんと私は言った。
「ああ、アイツ金持ってるからなー。まぁ、俳優の小栗旬氏のように二千万の婚約指輪とまでいかないだろうが、それなりに良いものを買ってもらえ。歳上男の甲斐性を見せたい場面でもあるからな」
「そうだよ、せっかくなんだからうんと甘えておいでよ。いいなぁ、ハリー・ウィンストン。私ジュエリーショップ大好きー!」
「そ、そんなことを言うならお二人も一緒に来てくださいよぉぉ!」
高級宝石店、というハードルの高さに
完全にビビっている。
「ジュリアさん、お店には何を着ていけばいいんですか?スーツ?ドレス?」
「きれいめの服なら何でも、アリサちゃんならワンピースとかいいんじゃない?ダメージジーンズやカジュアルサンダルは避けてね。ハンドケアをしっかりして、ネイルはナチュラルなのがいいと思う。指輪の色と手肌の相性を見るからね」
私の言葉を復唱するアリサちゃん。
これは絶対に面白い。
当日見に行きたいと思ってしまう私。
そんな私たちに、コウさんは笑っていた。
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