#3 オンナトモダチ

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……買い物を終えて ビルのレストランフロアで お茶をしているときにトモカは言った。 「アリサが報われて良かった。私、あの二人は付き合っても結婚まではいかないと思ってたんだよね。」 窓の外、一時に比べると 人手が戻りつつある街並みを見下ろし眺めながら、 トモカはアイスティーの入ったグラスのストローを回す。 「内野さんとの初顔合わせの時に思ったの。『ああ、この人結構苦労してそうだな、ただ色男やってたんじゃないんだな』って。人との間の取り方が絶妙だし、相手に心地よさを感じさせる。職業柄かもしれないけどバランスの計算が完璧で食えない人だなって思った。」 「ウチラより一回り近く歳上だし、余裕あるんじゃないの?」 アユミの見解に トモカはアユミはかわいいね、といって笑う。 「余裕か、それもあるけど。余裕の裏打ちってさ、成功も失敗も含めた経験値なんだよね。『百戦錬磨』で『業の深い人』だよ、内野さん。特に女関係で。自分の望む望まざる関係なく、他人の人生を背負わされたこともあるんじゃないかな。そういう人とアリサが一緒にいて、アリサが食い潰されたら嫌だなって思ってたの……そうなったら、彼の前からアリサを取り上げて隠してやろうと思ってた。でも」 ……でも。 ……でも、違った。 トモカは、一度、言葉を休めて 自分の気持ちを吟味するようにして アユミだから話す言葉を告げた。 「私、アリサのことが好きだったの。女友達としてだけじゃなく、恋をしてた。アリサには一生言わないけどね、言われても困るだろうし。あの子って、可愛くて、一途で、乙女の燐粉っていうの?いい匂いがして触りたくなるのよ……見てると幸せにしてあげたくなるんだよね。そういう気持ちじゃ誰にも負けないと思ってたの」 小さく微笑むトモカに アユミは目線だけを送る。 「でも、内野さんもそう思ったみたい。で、私の気持ちにも気付いてたみたい。『必ず幸せにする、彼女をまかせてほしい』って。そんなことを言わせるアリサってすごくない?邪魔する気にもなれなくなっちゃった。いいなぁ、結婚って。私じゃ出来ないよ」 「トモカ……今まで気付いてあげられなくてごめんね」 アユミの返しに トモカは一瞬、意外だという表情を見せて また、いつもの笑顔に戻った。
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