610人が本棚に入れています
本棚に追加
予約の当日。
ガッチガチに緊張したアリサちゃん
楽しいことしか起きないと思って
ワクワクして、おしゃれしているウッチー。
そんな二人に
ウェルカムドリンクとして
シャンパンが出される。
色、形、アリサちゃんの好みや
手の雰囲気、指のサイズ
二人が指輪に求めるストーリーなど
色々相談して、数種類のサンプルが出てくる。
指輪について大体の予算はあらかじめ
ウッチーから担当者に伝えていた、というけれど
予想を超えた指輪の素晴らしい輝きたちに
アリサちゃんは目線が定まらず
キトキトしてしまったという。
そして、サイズ測定。
「小嶋様、指がまっすぐで、とてもお綺麗ですね。内野様は、指の節がはっきりとしていらっしゃる。割と握力もおありでは?」
……などなど、
手に現れる各個性を読まれる。
ウッチーは自分の手を
「俺の手って、ゴリラとかチンパンジーみたいな霊長類の手、って感じなんだよね。『スゲー握れます』的な?身体のトータルバランスと合ってない」
と言って、
コンプレックスとまではいかないが
あまり好きなパーツでは無いらしいけれど
この手の武骨さに妙な色気があると
女性からは『触られたい』と、好評価だったりする。
小川さんいわく、
「内野さんのギャップは完全にエロス方面に振るんですよ、コンプレックスすら価値だらけという……ちくしょうですね、チクショウ」
というものらしい。
そんなことを思い出す余裕のないアリサちゃんは
めっちゃ手、見られる!触られる!
うわー、ハンドエステ行っておいて良かったー!
ジュリアさーん、助言ありがとうございます!
……と、思ったらしい。
ひとつひとつ、説明を受けて
指に付けて見る。
どれもが素敵、どれもがキレイ。
どれが一番かなんて分からない……
でもどれでもいいよとリョウが言う。
(ど、どうしよう。迷ってきちゃった。)
そんなアリサちゃんが
用意された数ある提案の中で、
指に付けた瞬間、しっくりと来るものがあった。
シンプルな装飾なのにやさしさがあって
素直さを感じるまっすぐな輝きに
手の角度を替えながら眺めていると
「ああ、アリサらしいね。俺もこれが好きだな」
ウッチーが言った。
最初のコメントを投稿しよう!