#2 「世の中にふたつとして同じダイヤモンドはない」

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予約の当日。 ガッチガチに緊張したアリサちゃん 楽しいことしか起きないと思って ワクワクして、おしゃれしているウッチー。 そんな二人に ウェルカムドリンクとして シャンパンが出される。 色、形、アリサちゃんの好みや 手の雰囲気、指のサイズ 二人が指輪に求めるストーリーなど 色々相談して、数種類のサンプルが出てくる。 指輪について大体の予算はあらかじめ ウッチーから担当者に伝えていた、というけれど 予想を超えた指輪の素晴らしい輝きたちに アリサちゃんは目線が定まらず キトキトしてしまったという。 そして、サイズ測定。 「小嶋様、指がまっすぐで、とてもお綺麗ですね。内野様は、指の節がはっきりとしていらっしゃる。割と握力もおありでは?」 ……などなど、 手に現れる各個性を読まれる。 ウッチーは自分の手を 「俺の手って、ゴリラとかチンパンジーみたいな霊長類の手、って感じなんだよね。『スゲー握れます』的な?身体のトータルバランスと合ってない」 と言って、 コンプレックスとまではいかないが あまり好きなパーツでは無いらしいけれど この手の武骨さに妙な色気があると 女性からは『触られたい』と、好評価だったりする。 小川さんいわく、 「内野さんのギャップは完全にエロス方面に振るんですよ、コンプレックスすら価値だらけという……ちくしょうですね、チクショウ」 というものらしい。 そんなことを思い出す余裕のないアリサちゃんは めっちゃ手、見られる!触られる! うわー、ハンドエステ行っておいて良かったー! ジュリアさーん、助言ありがとうございます! ……と、思ったらしい。 ひとつひとつ、説明を受けて 指に付けて見る。 どれもが素敵、どれもがキレイ。 どれが一番かなんて分からない…… でもどれでもいいよとリョウが言う。 (ど、どうしよう。迷ってきちゃった。) そんなアリサちゃんが 用意された数ある提案の中で、 指に付けた瞬間、しっくりと来るものがあった。 シンプルな装飾なのにやさしさがあって 素直さを感じるまっすぐな輝きに 手の角度を替えながら眺めていると 「ああ、アリサらしいね。俺もこれが好きだな」 ウッチーが言った。
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