#3 オンナトモダチ

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20代前半は良かった。 プチプラのワンピでも 化粧とヘアメイクと肌の若さで盛れた。 しかし、今はアラサーだ。 露出のパーセンテージを間違えば ただただ、『夜の女』になってしまう。 ショップ店員に相談すれば きっとフォーマルなワンピースをすすめてくるだろう。 アユミは嫌だった。 スタンダードを強いられることは 20代の終焉を感じるように思えたからだ。 そう思いつつ、横のトモカを見やる。 トモカはアパレル勤務だけあって、センスがいい。 体型も細身だし、身体のシルエットも華奢だ。 少女のようで、出るところはしっかり実っている。 コケティッシュ、という部類の女だ。 トモカはパリジェンヌ風、とアリサは言っていて ショートカットのうなじに どうしようもない色気が漂う。 トモカは、ベロア素材の 黒のノースリーブワンピースを候補にしたようだ。 試着室から出てくると 表の鏡の前でくるりと回って確認している。 ベロアの光沢が『女豹』っぽくもあり フォーマルさも兼ねている。 肌見せ具合はファーボレロで調整するらしく 祝いの席にふさわしい気がした。 「私はこれにしようかな、このワンピなら普段使いできるし。ライダースジャケットにゴアブーツで甘辛とか」 さすがアパレル。 お祝い会だけの衣装は買わないということだ。 アユミはため息をついた。 アリサは清楚系。 トモカは小悪魔系。 ……ギャル系でやっていた自分は ここが切り替え時なのだ。 悩んでいるアユミに 店員が近付いて、声をかける。 「お客様はお尻のシルエットがきれいですから。ぜひパンツ系をおすすめします。こちらはいかがでしょう」 薦められたそれは サテン生地の上下セットで 色は光沢の強い、深い青だ。 上半身は袖の透け感があるブラウス 下はワイドパンツ。 伸縮性のある生地が 腰回りをはっきり見せる。 「……は、派手じゃないですか?」 「そう思われるお客様がほとんどです、ですが着てみると全然違うんですよ」 アユミは戦々恐々とした様子で 試着を試みる。
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