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Darkest time
1.Darkest time
突然の話だった。と言うしか心の整理をつけることができない。しかし、前もって心の準備はしておくべきであったのだろう。勤めて勤めて一年しか経っていないのに僕は職場をクビとなってしまった。それも、主人の浪費癖が原因で起こった財政難による人員削減というつまらない理由で。屋敷にいた時には口が裂けても言えなかったが、そのころでも今でも、その主人をクソ野郎と思い続けている。浪費して金がなくなるのは自業自得なのにしわ寄せを受けるのは僕たち下僕のような使用人というのはあまりにも解せない。おかげでこっちは落ち着くまでロンドンにいる伯母の家に下宿して迷惑をかけなければならなくなった。ただ、素晴らしい紹介状を書いたということらしいので、今僕の怒りは頂点にはまだ達してはいない。
僕の乗った列車はほぼ定刻でセント・パンクラス駅に滑り込んだ。外に出ると、聞きしに勝る煙たさが僕を襲った。伯母はこんな環境で住んでいるのかと思うと、ちょっと不憫に思えてきた。
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