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親愛なる君
私は精神病院に入院する羽目になった。私は病気なんかじゃないのに、現在、病気だと決めつけられている。
昔あしらったネットストーカーが、幽霊か生霊になって私に付きまとっていて、そのため常に私の行動を監視していて、私しか知らないようなことを呟いてくるのに、医師も看護師も、私のことを病気と決めつけて、誰にまともに対応してくれない。
それは幻聴だ、と言われて薬を投与されるも、当然効くわけがない。そして薬はどんどん強いものとなり、私は薬の副作用で常に意識がもうろうとし、ふらふらしてしまうようになった。そしてどれだけ強い薬を飲んでも、どれだけ意識がもうろうとしていても、あの男の声が聞こえる。
「もうこれじゃ、廃人同様だね?だけど僕は、そんな君も愛してるよ?今の君を支えてあげられるのは、僕だけだからね?」
「やめ、て…やめて、神様…お願い、神様…神様、お願い、もうや、やめて……」
私はぶつぶつぶつぶつ、念仏のようにそんなことを呟いていた。だから他の入院患者も奇妙な顔をして私を見る。
「神様、お願い…もう、やめてください…私の中から、出て行って…….気持ち悪い……」
どんな薬も効かず、ただ眠気やめまいふらつきといった強い副作用に苦しむ私。霊や生霊なんて言うと、余計に精神病患者扱いをされる現実。
「なんで…なんで…私が何したっていうの……?ねぇ、どうして私がこんな目に遭わないとならない、の…ねぇ…助けて…私は精神病なんかじゃない…本当に、本当に霊が付きまとっているんだから……」
そう言ったところで誰も信じてくれない。そして今夜も私は、看護師により安定剤と眠剤を飲まされ、強制的に眠りにつかされる。ベッドの周囲をかこっている白いカーテンがしゅっと閉められ、部屋の電気が消える。そして私の耳には、常にあの声が聞こえる。
「今日は昨日より、ごはんたくさん食べられたね?
親愛なる君......こうして今、君の食べているものを知ることもできるし、君とトイレもお風呂も一緒なんて、僕はとっても幸せだよ?」
ああ......もうやめて、お願いだから。
「僕は神様、君の神様。ずっとずっと、君が死ぬまでそばにいるよ?嬉しいな」
ああ、もうやめて……
誰か、誰か助けて…….
「僕は神様…僕はもう、君のもので、君はもう、僕のもの…
これは君に与えられた罰だよ……」
ああ。私は一生、これに苛まれるのか……
神様、お願い、もうやめて、赦して下さい…
しかしそんな願いも虚しく、私は私にしか聞こえない声に苦しめられている、今日もまた。
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