過去の片思い

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過去の片思い

 過去に、自己啓発イベントで知り合った、更科さんという男性に心惹かれたことがある。けれども更科さんは、めったにそこに参加しない人だったので、1回しか会ったことがない。私が住んでいる町と離れた場所で暮らしているため、余計に会える機会もなかった。  更科さんとメールアドレスの交換はしていたものの、彼はレスポンスが遅かった。会う約束をしてみても、更科さんは忙しいらしく、都合がうまく合わせられない。  そんなことを数か月繰り返してきて、1歩踏み出さないと思い、自らのアクションの一環として、更科さんと親しい女性に、思い切って相談をしてしまった。それが間違いだった。 「え?更科さんのことが気になる?1度会っただけじゃん。なんで?  あのさ、更科さんがどんな幸せを求めてるか知ってるの!?更科さんの好みの女性は知ってるの!?更科さんがどんな将来を描きたいのか、更科さんがどんな言葉をかけてもらいたいか、知ってるの?それも知らないくせに好きだとかよく思えるよね???  更科さんの連絡先は知ってるんだよね?好みのタイプの女性について聞いたの?  は?聞いてない!??  好きな人に、好みのタイプの女性についても聞けないの!??  それさ、本当に好きなわけ?怪しいなぁ」  そんな辛辣な言葉の数々を容赦なく浴びせられた私は、人を好きになる資格がないと思い、更なる自己卑下に陥り、更なる人間不信に陥り、もう二度とリアルの知り合いに相談なんてするものか、と強く思った。  ぴしゃり。  心のシャッターを下ろした。
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