464人が本棚に入れています
本棚に追加
しかしその姿が異様だ。
大事な部分は木の幹みたいなもので覆われており、腰まである髪の毛はまるで葉っぱのよう。
そして瞳はまるで木彫りの瞳で、中央に緑色に煌めく宝石でも埋め込まれているみたいに見える。
かなり嫌な予感がするものの、放っておく事も出来ず一歩踏み出した瞬間。
ルーシェさんがメイド服の隠しポケットから取り出したクナイを思わせるナイフを構えながら前に出た。
すると私を守るように壁になったルーシェさんが口を開く。
「こんな所までご苦労様で御座いますね、アルラウネ様。 いい加減鬱陶しいのですが」
「黙りなさい、この裏切り者が! だが今すぐにリリティナ・ホルトマンを渡せばライア様に口聞きしてあげましょう、感謝して下さいな。 さあ、あの女を渡しなさい!」
「アルラウネ!? こいつが!?」
遂に現れた刺客に怖気を感じ、一歩飛び退き武器を構え直す。
だが警戒を厳にしている私とは違い、ルーシェさんは力を抜いて冷笑を浮かべていた。
「海藤様、ここは私にお任せを。 人間様では少々厳しいお相手故......」
「っ......」
丁寧な言葉遣いとは裏腹に邪魔だと言われた気がした。
しかし私にもプライドがある。
特殊犯罪対策課としてのプライドが。
「申し訳ありませんがそれは承服しかねます。 これでも特殊犯罪対策課に属していますから。 貴女が何者だろうと、どれだけ強かろうとも退くわけにはいきません!」
横に並びBLITZバトンを振るって電撃を迸らせていると、彼女は驚きの表情をみせたが。
「......ふふ、なるほど。 アレンさんから聞いてはいましたが、気丈であり、信念を持った強い女性なのですね。 分かりました、ご助力お願い致します。 ただし相手は西洋妖怪です。 危ないと感じましたらすぐに後退していただきますので」
次第に優しい微笑みへと変わっていった。
そしてその言葉に私は頷き。
「分かりました。 では......」
「参ります!」
「邪魔をするなら容赦はしないわよ、愚か者ども!」
同時に、木の精霊と呼ばれるアルラウネに向かって飛び出した。
最初のコメントを投稿しよう!