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「ぐ......ああああっ!」
BLITZバトンをわざと放り投げ、痛がる素振りをする。
「ようやく当たったわね! 人間風情にしてはよくやったと誉めてあげる! でも......」
「今よ、ルーシェさん!」
「な、なに!?」
嘘が効いたらしく、残るルーシェを殺そうと繭を解いたアルラウネが私を見るなり驚きの表情を見せた。
痛がるどころか不敵に笑みを浮かべていたからだ。
「ーーしまった! これは罠か!」
「今さら気付いても遅いのよ!」
左腕を痛めるわけにもいかないので右に飛び込む。
するとその直後。
「刻みなさい、スラストレイブン!」
掲げていた右手に浮いている渦から数多のかまいたちが放たれ、アルラウネを細切れにした。
胴体は真っ二つは当然の如く。
顔も腕も足も、もう原型を留めていない。
上空に吹き飛んだアルラウネの上半身を見上げ、BLITZバトンを拾い上げる。
その刹那、私は油断していた。
相手が常識の通じない相手であったのを忘れていたのだ。
「ふぅっ......なんとかなったわね。 でも殺すのは警察官として忍びないけれど」
「海藤様、避けてくださいまし!」
「え、どうし......がっ!?」
叫ぶルーシェさんに振り向いた刹那、目の前が翠に覆われ、直後。
「かはっ!? っ......こいつ、まだ......!」
大木と言える程の木の根が私の身体に直撃し、コンクリートの壁に縛り付けられてしまった。
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