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途轍もない、予想もしていなかったダメージに背中、腹部、胸部の骨が悲鳴を上げ、涙が目尻に浮かぶ。
包帯は千切れダランとぶら下がる左腕に痛みが走った。
しかもどうやらアバラも数本逝ったのか呼吸もかなり乱れてしまっている様だ。
「はあはあ! あの状態で生きてるっていうの......冗談でしょ......?」
「頑張った......みたいだけど......私には勝てないのよ!」
バラバラになった身体の破片から触手が伸び、パーツが絡み合うと徐々に元の人間体へと戻っていく。
駄目だ、この女を倒す手立てがない。
「動いてるんじゃないわよ、シルフィード!」
「しまっ! かはっ! ......っ」
頼みの綱のルーシェさんですら、アルラウネの足元から伸びる蔓から瞬時に形成された何重にもなっている蔓に側面から殴られ、壁に激突して意識を手放してしまった。
「ふっ、ふはははは! ようやく! ようやく倒せたわ! あの精霊姫シルフィードを! あの伝説の精霊を!」
「ルーシェさん!! くっ! 今すぐこれを剥がしなさい!」
ジタバタと踠くがコンクリートから生える大木は微動だにしない。
しかし諦めず踠き続けていると、いつの間にか螺旋蔓の先端が私の肉眼を捉えていた。
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