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「このままだと貴女死ぬわよ。 死にたくなかったら答えなさい。 リリティナ・ホルトマンはどこに居るのかしら?」
まだ所々中身が見えているアルラウネがゆっくりと私の前に歩いてくる。
ピタリと足を止め、私の顎を継ぎ接ぎになっている右腕で掴んできたが。
「ぺっ! 言うわけ無いでしょう? 仲間を売ると思ってるのならお笑い草ね!」
唾を吐きかけ言い放つと、掴んでいた顎を乱暴に離し、顔を腕でぬぐいながら、背を向けて歩き出した。
そしてアルラウネは指を鳴らし。
「ならもう死になさい。 貴女に用は無いわ」
「っ......!」
螺旋蔓をしならせ、私の眉間を尖った先端で穿とうと蔓を放つ。
今回ばかりはどうしようもない。
怪那はあれから毎日あーちゃんの帰りをアパートで待ち続けている。
古書店のオーナー、真壁信慈とパートナーのあやかしは灰暮刑事の代わりにとある物品の警護をしているらしい。
今回こそは助けは来ない。 つまりここが私の死に場所という事だ。
「ごめんなさい、あーちゃん。 貴方にまた辛い想いをさせるわ。 本当に......ごめんなさい」
みるみる内に迫る蔓の槍。
その先端が私の眉間に届いた。
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