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「その子は今どこに?」
「今はマヨイガにいらっしゃるようです。 この件が片付きましたら行ってみようかと。 確か名は雪芽でしたか」
「マヨイガ......聞いたことのない地名です」
そう告げるとルーシェさんはとても嬉しそうに微笑んだ。
「人間ではそうお目にかかれませんから............と、気付かれましたか。 少々お喋りが過ぎましたね。 海藤様、首を左に傾げてくださいまし」
「はい? ......きゃああっ!?」
言われた通りに首を動かしたその刹那。
右頬から血が滴り、壁に茨の弾丸が撃ち込まれていた。
「あうあうあう......」
気を抜いていたのもあり、唐突な命の危険に晒され口が金魚みたいにパクパクと動き、目玉が飛び出しそうな程見開く。
恐怖から涙目になりながら、弾丸を撃ち込んできた女と目が合った。
「シルフィード、よくも邪魔を!」
「貴女大丈夫ぅ? 死んでないのぉ?」
「な、なんとか......!」
「ふぅん、なかなかやるじゃなぁい。 シルフィード、早く逃がしてねぇ?」
相変わらず妖艶な微笑みを浮かべていたが、その奥底に感じる殺気に当てられ私とルーシェさんの顔がひきつる。
即座にルーシェさんがナイフの柄を右手の手のひらで叩くと。
「目をお瞑り下さいませ!」
突然身体が自由になり。
ぎゅっと閉じた目蓋を開けると、大木がトルネードに直撃されたかの如く、木っ端微塵となっていた。
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