464人が本棚に入れています
本棚に追加
車が宙へと放り出され、重力に逆らえずゆっくり回転しながら高速で落ちていく。
「あっ、銃が!」
「放っとけ、そんなの! 命の方がヤバいだろうが!」
「失くしたら始末書ですよ!? 始末書よりも管理監の方が怖いですけどね! って喋り方移ってます!」
「知るかっ! んなもん気にしてられっかよ!」
私と刑事は運転席と助手席上部の取っ手に掴まり、恐怖の余りに言葉を震わせながら口喧嘩。
「ひゃあああああ! Papa maman va maintenant~」
リリティナ博士は、後部座席を転がりながらポロポロ涙を溢し胸元で十字を切り。
「私は問題ありませんが、困りました。 博士の知識が無駄になります。 申し訳ありませんが、そこのノートパソコンで出来るだけ打ち込んでコピーお願いします」
ふわふわと浮かぶルーシェさんが、博士に谷間から取り出したUSBメモリを渡そうとしている。
「そんな暇あったらなんとかしろよ!」
「マジ死ぬから! それどこじゃないし! Tu es stupide!?」
「きゃあああ! ボンネットに瓦礫が! 落ちる前にこのままじゃプレスされてお亡くなりになるわよ!?」
ボンネットに落ちてきた特大の瓦礫を見ながら涙を流しながら喚く。
涙が下ではなく上に落ちていく最中、黒い影がフロントガラスのすぐ近くを通りすぎた。
最初のコメントを投稿しよう!