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第2話 双子座
何万キロと離れて光り輝く流れた星のことは今でもはっきりと覚えているのに
すぐ近くにいたあの子の姿形は霧がかかってしまっていた。
「・・・おい、おい!今井!起きろ!」
やかましい、先生の声が聞こえる
「まだ、朝のホームルーム中だぞ!シャキっとせんか! バシっ 」
「痛っ」
先生に小突かれてようやく起きた。
「もう高校2年生にもなってその体たらくでいいと思ってるのか?
今井だけに限らず、お前ら来年には進路が決定するんだぞ!
だいたいな―――」
また始まった。
最近やたらと説教が多くなっている。
「ふあ~~」
大きなあくびをしながら外を眺める。
「今日もいい天気だな~」
つまらない先生の話を能天気なことをつぶやきながら聞き流していた。
「ごほんっ、もう毎回毎回説教するこちらの身にもなってくれ」
誰も説教してくれよとは頼んでない。
「今日はもう一つ君たちに連絡することがあります
入ってきなさい」
先生がだれもいないはずの扉に向かって話かける。
ガラガラっ
「えー、皆さん今日から2年C組の仲間になります
斉藤さんです。では、自己紹介を」
「皆さん、初めまして斉藤 香奈です
よろしくお願いします」
突然、現れたその少女は十年前に離れ離れになったあの子の
面影があった。
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