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「大丈夫、痛くしないようにするから」
ユウが優しく微笑む。けど、すげー怖い。それに俺には掘られたい願望とかないよ? したことないから分かんないけど。俺はただ……。
「ユウは? どっちが好きなの?」
「俺はどっちでもいいよ」
「俺は、ユウを抱きたい……というか……ユウに俺を好きになって欲しい」
「ん? 好きだけど」
キョトン顔で首を傾げる。
「違う……その好きじゃない」
うまく説明できない。
「じゃぁ……どの?」
ユウにはちんぷんかんぷんみたい。
俺はゴムの箱を掴むと、ユウの手を握り寝室へ引っ張った。
「おわ!」
部屋は北側の窓からうっすら日が差し込んでいるけど、もう薄暗くて、すぐにとっぷり日が暮れてしまいそうだった。
エアコンを入れ、ユウをベッドへ押しながら覆い被さり、もう一度言う。ユウに伝わるように。
「知り合ったばかりだけど、すごく惹かれてる。ユウのことしか頭にないよ」
ユウはビックリした表情でじっと俺を見上げ、それから観察するような視線になった。俺の言葉の真意を掴もうとしているのか。
「ユウにとっては優しい人はみんな好きなんだよね? 俺はみんなと同じ好きなんだろ?」
「ううん」
ユウの表情がコロッと変わった。
嬉しそうな顔。ユウの両手が俺の首へ絡みつく。
「今わかった。俺、ヒロ君が好き」
「……へ?」
「ヒロ君だから好き。好きだよ」
「な、なんで……急に分かったの?」
「いろんなヒロ君を見せてくれたから」
「いろんな……俺?」
「俺ね、意地悪するのも好きだけどグイグイに弱いんだよね。実はMだし」
「え、えむ……? だから、俺が好き?」
「ヒロ君、真面目さんだし、ずっと一緒にいてくれそうだもん。バッチリ俺のタイプど真ん中だよ」
「…………」
なんか違う。なんか……軽い。いや、俺の頭が固いだけで、こんなものなのか? 俺が重すぎるのだろうか? ど真ん中は嬉しいけど……。
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