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「…………」  まさかと思うけど……野宿?  公園に等間隔で植えられた桜の木。俺は俺で、フェンス越しの桜の木の影に隠れてそれをポカンと見ていた。  巻いただけじゃやはり寒かったのか、すぐに男は組んでいた腕を解き、脇の下で巻いていた新聞紙を外し、布団のように肩から掛けた。隙間ができないように新聞紙の端っこを自分の体の下に敷く作業をしているようだ。  いやいや。どう考えても無理でしょ? 凍死しちゃうんじゃね? って、いうか、普通の脳ミソがあれば、朝まで公園にいるのは耐えられないと分かるだろうに。  俺は関わり合いになるのはごめんだと、足音を立てないようにその場を離れようとした。触らぬ神に祟りなしだ。  その時、ビュウオオと、一際強い風が吹きつけた。首をギュッと竦めた途端「ああっ」と小さな声が耳に届く。  反射的にパッとベンチに視線を向けると、新聞紙が地面を転がっていくのが見えた。男は慌てて起き上がり、他の新聞が飛ばされないように脇に挟みながら、飛ばされた新聞紙を追っかけてる。 「…………」  今の声、子供みたいな高音だったけど。まさか、未成年なの?  暗いし、あんまりよく見えないけど、そう思って見てみると、その男は中学生か高校生くらいに見えなくもなかった。やっていることも、なんというか……幼い。
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