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 レジでカゴをドカッと置くと、隣のレジに立っているさっきの母親が目をまん丸にしていた。コンビニで大量に買い物するなんて信じられないって顔だ。  いいんだよ。俺は気楽な独身なんだから。ボーナスも給料も入ったばっかりなんだから!  心の中で誰に向けてか分からない言葉を吐いていると、「あっ、すみません!」と店員の焦った声。  足元に落ちてきたのはコンドーム……。  慌ててそれを拾うと店員に渡した。店員がかなり申し訳なさそうな表情で言った。 「取り替えてきましょうか?」 「いい。いい」  やましいことをしているわけじゃないのに、この仕打ち!  うしろに並ぶ客の視線が痛い。  このコンビニ、とうぶん寄れないよぉ。  会計を済ませると、店員にお釣りとおまけのカードを五枚渡された。千円以上買い物をした客に配ってるらしい。 「六枚で、このブランケットと交換できますので!」 「はぁ。ありがとう」  有名アニメキャラが、なぜか悪魔っぽい格好でニッコリ微笑んでる。どことなくユウに似ている気がした。  まさにこんな感じだよな。  俺は道を外してる気がする。なのに、ウキウキしてるんだよ。  ひとりでニヤニヤしてることに気付いて、それもちょっと気分がよかった。 「ただいまー」  両手に荷物を持ってアパートへ戻る。  今度は降りてきて欲しい。と切実に思った。 「おかえりー」  廊下を駆けてくる足音がしてユウが階段を軽快に降りてきた。  ユウは寝巻きのスウェットから着替えていた。ジーパンにベージュ色のあのパーカーだった。思ったよりおかしくない。色白だからか妙に可愛いし、似合ってる。おばあちゃんの下着じゃなくて、バニラアイスの色だと思った。 「わっ……すごい荷物」  ユウはギョッとして、見るからに重い方の袋を受け取ってくれた。 「サンキュ」 「やっぱ一緒に行けば良かったね」  男二人で大量にビール買って、コンドームまで購入している場面を想像してみて? しかもこんな可愛い外見のユウ君だよ? きっとあの母親は警察に通報すると思うよ?
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