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「あははは。大丈夫。これくらい。車で行ったしね」
俺は笑って階段を上るとキッチンへ向かった。ビールだけで冷蔵庫をほほ占領してしまいそうな勢いだ。
「わー! すっごい! 本当に買ってきてくれたんだ」
ユウは歓声を上げ、袋から次々にポッキーの箱を出していく。さっそく一個開けてポッキーを取り出しパクリ。ポキポキとこ気味いい音を立てながらもぐもぐ食べて、指のポッキーが無くなったらもう一本取り出す。
ぷぷ。リスみたいだな。
「いっぱいあるからポッキーパーティーもできるね!」
「鍋&ポッキー? チーズ鱈やナッツの横に並べたらいいかも。それより、アイスしまわないと溶けちゃうぞ」
「あ、そうだね!」
ユウは手に持っているポッキーを口に咥えたまま冷凍庫を開けてアイスをしまった。
屈んだユウからふんわりといい匂いがした。改めてユウを見る。そういえば大爆発していた髪が綺麗に降りてる。ユウの腰に手を回し引き寄せた。
「ん?」
「あーん」
ユウの咥えていたポッキーを反対側から齧る。目を伏せ、互いの顔の間にあるポッキーを見つめながらちょっとずつポッキーを齧った。
俺は齧るのを止め、ポッキーの端っこを咥えたままユウの唇が到達するのを待った。八センチ、五センチと縮まって鼻先が当たりそうになるところで、携帯の着信音。
多分、楠木だ。
俺は残りのポッキーを口に引き込むと、ユウの唇にチュッとキスして携帯をポケットから取り出した。
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