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「ちゃんとユウと付き合いたい。付き合ってくれる? どこにも行かないと約束してくれる?」  ユウは頬を挟まれ、口をタコみたいに突き出し、俺をじっと見つめたまま大きく頷いた。頷いた途端、頬がもっと盛り上がって更にタコみたいに口が突き出る。  なんて可愛いんだろう。  俺は「ぷぷっ」と吹き出しながら、もっと両手でユウの頬を挟んだ。 「俺さ、恋愛に関しては超慎重派で……こんなふうに誰かを求めたことなかった」  ユウはタコなお口のまま、黙って俺の話を聞いている。 「きっと、ユウだからなんだと思う。ユウはそう思うと、モテモテなんだろうな。こんな俺みたいな鈍亀(どんがめ)まで夢中にさせちゃうんだから。でも、よそ見すんなよ?」  ムニュとした口のまま、コクコクと何度も頷く。その口にチュッとキスして、可愛らしい変顔にまた微笑んだ。 「へおくんもえ」  やっと発したユウの言葉に、二人で笑い合ってると携帯が鳴った。メールの着信音だ。俺はユウの頬を両手で擦り、もう一度キスして手を離し、楠木からのメールを確認した。 「あ、今電車に乗ったってさ」 「うん」  半裸のユウを引き寄せギュッと強く抱きしめた。  新年会なんてキャンセルしたい。まったく、なんてタイミングだろう。 「服着ようか? 一緒に迎えに行こう」 「待ってるよ。お鍋の準備とかしとく」 「うん……分かった」  パーカーに袖を通しながら、ユウはまた玄関までついてきた。 「じゃ、行ってくる」 「うん、いってらっしゃい」  楠木を連れて戻ったら、キスできないのか。  そう考えると、玄関から出づらくなった。でも早く迎えに行かないといけないし、ウダウダ悩む時間も無い。  仕方なくドアノブを掴むと、ユウの声がした。 「ヒロ君」 「ん?」  振り向くと目の前が暗くなりユウの唇が重なった。わずかに開いた唇に、軽く吸いつかれる。 「いってらっしゃいのチュウ」 「お、おう……ありがとう。行ってきます。すぐ戻るから」 「慌てなくていいよ」  ニコッと微笑むユウに元気をもらい、その勢いで車へ乗り込み出発した。
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