ディフェンダー・ストッパー

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  「じゃここで待ってて。2人が行くと『泊って行け』って絶対言われるから」  花が実家に戻るのを見送る。風は無いが、空気が冷たい。冬で1月下旬。だがたっぷり美味しい食事をした後だから体はほかほかとしている。 「ジェイ、ありがとう。本当に今日は来て良かった!」 「いい人たちでしょ? まさなりさんとゆめさん。俺、大好きなんだ!」 「そうだな。昔のことがあっても今じゃ花も心を開いてるように見えるし。仲のいい親子に戻って良かったって思うよ」 「うん。親子って離れちゃだめなんだよ」  ジェイの声は明るかった。 (蓮ちゃんは本当にジェイを大事にしてるんだ。だからこんな声が出せるんだ)  黒い車が邸内から出てきた。 「お待たせ! 悪いけどさ、この車で我慢して」 「これ、あの高い車じゃないの?」  ちょっとビビってしまう。 「メルセデス。言い合いが面倒だらかこれにした。一応俺のだし。いいから乗って」  後から乗ったジェイが バタン! とドアを閉めたから浜田は身を竦めた。 「もっとそっと閉めろよ」 「気にすんなよ、父さんはこれを俺の通勤用に買ったんだから。遅い時間だから飛ばすよ」 「飛ばすなよ!」 『通勤用』と聞いて、さらにビビる。 (花がこれ乗ってきたら俺は車の番をする!)  そこから1時間近く。身動きも出来ず緊張の連続。なるべく床につかないように足をちょっと持ち上げている。浜田はごく普通の小市民だ。 「もっと優しく曲がれよ!」 「俺にしちゃ優しいよ」 「スピード!」  「オービス避けてるから」  隣は、というと満腹と食後の薬でぐっすり眠っている。なごみ亭の駐車場に入り、やっと緊張から解放された。  
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