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[ディフェンダー 1]
「親父っさん、今夜伺ってもいいですか?」
『大将ならいつだって構わねぇとも。何時ごろだい?』
「1時過ぎると思います」
『……よほどの話だね?』
「はい」
[ディフェンダー 2]
「父さん、明日なんだけどさ。車返しに行ったついでに相談したいことあるんだ。時間取れる?」
『もちろんだよ! 一人で来るのかい?』
「マリエも一緒。帰りはウチの車で帰るから」
『分かった。待っているよ』
[ディフェンダー 3]
『どうなった!?』
「哲平さん、今日は泊りじゃなかったの?」
『あんなメール見たから泊りにしたんだよ、出来れば明日少しでも時間空けたくてさ』
「相手、ジェイに会うのが目的でなごみ亭に乗り込んできた。浜ちゃんに頼んで良かったよ。河野さんは塩ぶっかけて追い返したって」
『そうか』
「あれはもう完全に兄弟じゃないね。……哲平さん、河野さんはもう覚悟してる。なごみ亭から消えること」
『……責められないな。けどそれは最後の手段だ』
「心配なのは最後の手段の前にジェイに何かされないかってことなんだ」
『…………分かった。俺に任せろ。どうせお前、じっとしてるつもりないんだろ? 2月になれば復帰だ。それまでにせめて形を作らないとな』
「うん……俺、あの2人を失いたくない」
『当たり前だ! 失って堪るか!』
[ストッパー]
本当に何もできない? ……しないと。出来る、出来ないじゃないんだ、しないと。でも俺なんかになにが? ……『俺なんか』今度言ったら寝技かけるって言われたよな。そうだよ、本物の弟に仮の弟がなにを出来るか。……そうだ!
[そして、サポーター]
「まぁくん、俺」
『勘弁してよ、それ言っていいの、莉々だけだから』
「仮にも兄貴だぞ」
『はいはい。それで? 仮の兄貴が俺になんの用?』
「ホントは俺が音頭取りたいんだけどさ、浜ちゃんと陽子の式のこと頼めないか?」
『結婚式? 俺が?』
「声かけを頼みたいんだ。何人かで2人に内緒で段取り組んでほしい」
『2月……』
「7日」
『そうか、もう日が無いよな。哲平は何もしないってこと?』
「しないってより、出来ない。花もだ」
『……なにかあった? ……河野さんが泣いたことに関係してる?』
「聞くなよ、言えないから」
『分かった! 任せていいよ、中山とか野瀬とかでこっちで考える。参加は?』
「する。花もだ。場所は……蓮ちゃんとこ。ちゃんと予約入れて押さえてくれ。7日は土曜だからちょうどいいだろ。ただし店に損はさせたくない。休日は割増しなの忘れんなよ」
『了解。……他になにかあったら言ってくれ。みんなそのつもりだから』
「ん。おやすみ」
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