目から鱗

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   花はぐるっと椅子を回して小出を正面から見た。 「それで? どういう情報をお持ちなんですか? あ、その前に。父さん、母さん、ホストでしょ! 早くホールに行って。ゲストに失礼だよ」 「そうだった! でも立ち合いたいんだが……」 「なんに? しばらくかかるよ、パソコン使えるようになるまで」 「実は蓮ちゃんと大滝さんと親父っさんを呼んだんだよ。その時にいっしょにいたい」 「……蓮ちゃんは分かる。大滝さんと親父っさんってナニ?」 「お友だちだよ!」 「おともだち…… 今回のことに関係してるってこと?」 「私たちは手分けして蓮ちゃんのために…… 済まない、この先は言ってはいけないんだ」  花の目が鋭くなった。相手が相手だ、どういう意味合いの『友だち』なのか知りたい。ジェイの周りに親父っさんの手が伸びているのもどういう経緯なのか。 「ふぅん…… 父さん、俺に隠し事するんだ」 「そうじゃない! でも言えないことだってあるんだよ、花」 「あっそ。じゃ聞かない。もういいよ、ホールに行って。3人が揃ったら来れば?」 「花……」  ゆめさんが胸の前で両手を組む。 (まるで神さまにお願いするみたいだ。確かにこの息子は手厳しい) この純真無垢な2人は息子が『回れ右!』と言えばすぐ背中を見せそうな気がする。 「お願い、まさなりさんを怒らないで。一生懸命頑張ったのよ。お願い」  花の目が少し柔らかくなった。 「分かったよ。聞かない。そうだね、父さんのプライベートに口を突っ込むつもりはなかったんだ。ごめん」 「いいのかい? 許してくれるのかい?」 「父さんがいつも正直なのは知ってる。一生懸命なのも。間違いはよく起こすけどね。大丈夫、俺はなんとも思ってない。安心してゲストのところに行って」 「ありがとう、花」  両親が出て行って、もう一度小出を正面から見た。 「どういう目的でここに来たの? よく招待状が手に入ったね。情報は有難いと思う。でもそれで知る新たな情報をどう利用するつもり?」 「君はオブラートに包んでものを言うってことを知らないのか? 俺がこれで怒って出て行ったらどうする?」 「それはない。どういう形にしろ、宗田家はあんたに魅力的なはずだ。だから2年も経ったのにここにいる」 「参ったな。初めから俺は悪者なんだな」 「少なくともあんたに対する俺のイメージを払拭してない」  以前の自分ならここで席を立っていただろうと思う。けれどまさなりさんのお蔭で『状況を楽しむ』ということを覚えた。  
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