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ジェイの手が頭から下りた。尾高に頭を差し出す。
「いいよ、触って。尾高さんに今年いいことがありますように」
くすっと笑って尾高がさっきより優しくジェイの頭を撫でた。
「ありがとう、本当にいいことが起きそうだ」
途端に飲んでる連中が調子に乗る。
「俺も撫でとく」
「俺もだ」
「私もね」
次々と頭を撫でられて幸せそうな顔をするジェイと、吹き出すのを堪えているみんな。
「あの、俺もいいですか?」
リオがジェイの前に座った。
「いいよ」
「俺、ホントにいいことほしいです。それからみんなにもいいことあってほしいです。今日は俺もおっきな家族に入れてもらった気がします!」
リオは丁寧にジェイの頭を撫でて、石尾と翔も同じように撫でて3人で帰って行った。
「いい後輩たちだな。お前がお兄さんだよ」
中山の言葉が嬉しくて、ジェイの顔に笑顔が炸裂した。
「飲ませすぎるなよ、正月から蓮ちゃんが花に叩き出されるのは可哀そうだ」
田中はそれ以上飲ませるなと釘を刺したが、みんなで寄ってたかって蓮を酔い潰した。みんな蓮になにかしたくて、でもこんな席じゃ酒を注ぐことしか出来なくて。
「もう、いい、って、のめ、」
「いいから、後一杯!」
柏木が日本酒を持って迫る。
「はな、おこる、から」
「いいよ、今日はもう泊っていきなよ。だろ? マリエ」
「うん、いいよね、ジェイくん」
「俺、泊りたい!」
花が頷くのを見て、柏木はグラスに並々と注いだ。
「ほら、飲んで飲んで」
「い、や、おれ……」
そのままガクッと前のめりに畳みに倒れ、突っ伏した。
「まったく! 飲ませすぎだ、二日酔い確定だな」
田中が怒ったように周りを見回す。
「とにかくここじゃ気の毒だ、どこか」
「奥にね、小さい部屋があるからそこに運んで。ベッドに寝せてあげて」
池沢、柏木、尾高が面倒を見て蓮を運ぶ。
「ジェイ、ついていけ。蓮ちゃんの面倒頼むよ」
「うん。ね、哲平さん、蓮大丈夫だよね? 今日はどうしちゃったのかな……」
「蓮ちゃんだってこんな時があるさ。疲れもあったんだろ、インフルエンザが治り切らない内に餅つきと営業開始だったからな」
なんとなく納得したジェイは蓮の運ばれた部屋に向かった。
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