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ディフェンダー・ストッパー
チャイムが鳴ったような気がした。バスタオルを干していたジェイは部屋の中に耳を澄ます。もう一度鳴った。
「はーい」
急いで玄関に向かった。ドアを開けると眞喜ちゃんだ。
「どうしたの? あ、電話した? 洗濯物干してたから気がつかなくてごめんなさい! すぐ下に行くよ!」
「違うの、相談があって来たの」
「相談?」
「入ってもいい?」
「あ、ごめんね、どうぞ」
ジェイは眞喜ちゃんをソファに案内した。
「表でずい分待った? 寒かったでしょ、あったかい物、飲む?」
眞喜ちゃんは手を合わせた。
「お願い。簡単なものでいいから」
「まだ時間あるし。コーヒー飲めたっけ?」
「紅茶がいいの。でも」
「いいよ、気にしないで」
任務を背負った眞喜ちゃんとしてはなるべくここにいる時間を引き延ばしたい。だから面倒なものをジェイに頼んだ。
(蓮ちゃんが帰って来るまで持つかしら?)
伴ちゃんにはこう頼まれた。
『どうやら会わせたくない相手はあの『蓮ちゃんの弟』ってやつらしいんだ。もう連絡ついてこっちに向かってるからそれまでジェイの面倒見ててくんないかな。片がついたら連絡するから。そうだな……出来れば蓮ちゃんはあいつと話ししたいかもしれない。だから頑張って!』
蓮ちゃんがどれくらいで戻って来るか分からない。ここに上がって来るまで理由を考えたけれど、たいして思いつかないまま来てしまった。
「なんの話?」
台所からそんな質問が飛んでくる。
「ジェイが座ってからでいいわ。……そうだ、少しお腹が空いちゃったの。台所借りてもいい?」
「なら店から何か取って来るよ」
眞喜ちゃんは慌てた。それはまずい。
「あ、そっか。内線使ってもいい? こっそり匠ちゃんに頼んじゃう。構わないかな」
ジェイがそばに来た。
「いいよ。俺も何か食べたい!」
「じゃ何にする?」
ほっとした。なにしろ相手はジェイだ。これが蓮ちゃんならこう簡単にはいかないだろう。
「そうだね…… ランチの残りで考えようね」
「もちろんよ! 今日は何が残ってたっけ」
「えっとね……」
食べるものになると考え込むジェイ。
「ゆっくり考えましょ」
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