ディフェンダー・ストッパー

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   眞喜ちゃんはドキッとした。 (まさか強行突破してきたんじゃないでしょうね!?) 「はーい」と答えたジェイが出るより先に、玄関を塞ぐような格好で玄関に立った。 (後で蓮ちゃんに言わないと! 今時ドアに覗き穴が無いなんて! カメラを付けたっていいぐらいよ!)  眞喜ちゃんの出る剣幕でジェイは止まってしまった。なんだか怒っているようにも見える。 「はい、どなた様でしょうか」  場合によっちゃ、自分が強硬手段に出るつもりだ。蓮ちゃんのいない時にジェイを守るのは自分たちだ。相手を押しのけて閉めたドアの真ん前で仁王立ちするくらいの覚悟がある。 「どうも、浜田です。眞喜ちゃんがここにいるの?」 「浜ちゃん! 良かった、心臓が止まるかと思った!」 「ごめん、だってここインターホン無いんだもん、付けるべきだよ。不用心だし不便だ」 「全くよね! 浜ちゃんからも蓮ちゃんに言ってよ! ビデオも覗き窓も無いんだから!」 「そういえばそうだね。あ、ジェイ! お邪魔するよー」  なんだかよく分からない展開にジェイは目をパチパチさせている。 「浜田さん……仕事は? あの、サボり?」 「なに言っての、ちゃんと有休取ってきたよ。眞喜ちゃん、悪いんだけどさ、ジェイを連れ出しちゃだめかな? ちょっとジェイに頼みがあるんだ」  理由がなんにしろ、眞喜ちゃんには浜田が救いの神に見える。 「もちろんよ!」 「だめだよ! 蓮もいないし晩飯の支度しないと」 「源ちゃん、伴ちゃん、匠ちゃん、私がいるのよ。7時までは凛子ちゃんもいるわ。石尾くんって言うナイトが迎えに来るまでね。蓮ちゃんだって晩飯の頭くらいには帰って来るって言ってたし」 「そうだけど」  浜田がジェイに手を合わせた。 「お願い! 今日しかチャンスが無いんだよ、俺につき合ってくんない?」 「俺に頼みって、どんなこと?」  浜田は眞喜ちゃんを見た。 「こっ恥ずかしくて言えない。ジェイと2人になったら言うよ」 「あらあら、私はお邪魔ってことね? そろそろ下に行こうと思ってたからいいわよ」 「ごめん! 今度眞喜ちゃんの好きな豆大福買ってくるからさ!」 「しょうがない、その賄賂で我慢してあげる。お店にも食べに来てね」 「今夜くるよ、ジェイを送りがてら」 「じゃ待ってます。ジェイ、お店は大丈夫よ。蓮ちゃんにも電話しておくから。気をつけて行ってらっしゃい」  浜田が小さい声で『ジェイのことは任せて』と言ったから、話が通じているのだとホッとした。  ジェイ不在でことが決まっていく。ジェイは眞喜ちゃんから浜田へと引き継がれた。  
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