ディフェンダー・ストッパー

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   ソファを勧められてぎこちなく座り、慌てて立った。 「浜田弘と申します! 宗田部長補佐にはいつも大変お世話になっております」  名刺を出した。まさなりさんが優雅に立つ。にっこりと名刺を受け取った。 「こちらこそ。花が『浜ちゃん』というのがあなたですね」 「覚えてくださってるなんて、光栄です!」 「あのね、花さんはいつも浜田さんをイジメて楽しんでるんだよ」 「ジェイっ」  途端にまさなりさんの顔色が悪くなった。 「そんな…… 花がキツい性格だということは承知しています。ですが、あなたにまでそんな態度を取っているなんて…… ゆめさん! ゆめさん!」  浜田は泡を食った。そんなに大ごとにするような話じゃない。ゆめさんが急いでやってきた。 「どうしたの?」 「花が…… 花がこちらの浜田さんに『イジメ』というものをしているそうだ」 「まぁ!」  今度はゆめさんの顔が青くなった。 「……座ってください、浜田さん。どうか私たちの話を聞いてください」  言われるがままにソファに座った。ゆめさんが語りだす。 「あの子は……幼い時から親がそばにいない状況で育ったんです」  そこからゆめさんは花の過去を話し出した。まさなりさんも一緒に、2人交互で自分たちがどんなにひどい親だったかを告白した。 「そんな…… それじゃ花が可哀そうだ!」  思わず立ち上がっていた浜田。その時には2人の顔は涙に濡れていた。 「親がいながらたった1人で…… 可哀そうだ……」  ジェイはそっと浜田の手を引っ張った。浜田は座って、我に返った。 「すみません、俺が口を出すことじゃなかったです。すみません」 「いえ…… そう言われても仕方のないことを私たちはしてきました。だからといって許されるなどとは思っていません、花のしたことを。人を『イジメ』て楽しむなどとんでもないことです。けれど花を歪んだ性格にした要因には私たち親の在り方も関与しているんです」  まさなりさんは立ち上がった。ゆめさんもそれに倣う。 「大変申し訳ありません。花は人としてしてはならないことをあなたにした。その罪は大きい。今夜にでも花と話し合います。どうか今までのことを許してください」  しっかりと頭を下げるまさなりさんとゆめさん。浜田は目の前で起きていることが自分に対してのものだということが実感できずにいる。  まさなりさんは、ゆめさんに悲しそうな顔を向けた。流れる涙がぽたぽたと落ちている。 「ゆめさん。許していただけなくても仕方のないことだ。私たちもこのことをしっかり受け止めなければ。浜田さんが心に受けた傷は大きいだろう。私たちはそのことに真剣に向き合って謝罪の姿勢をお見せするよう努力していこう」 「はい」  
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