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「指輪の話。これは浜ちゃん、自分で考えて。自分の大事な人への贈り物でしょ? それくらい真剣に自力で悩みなよ」
ポンっと返ってきた花の言葉でちゃんと頷くことが出来た。
「そうだな…… うん、その通りだよ。それは俺が頑張るところだ、相談じゃなくって」
「よし。で、お母さんへのプレゼントだよね? それ、1人で考えるとか誰かに相談とかじゃなくて、陽子と考えたら? お母さんの好みも知らないでしょ。俺は的を絞った方がいいと思うけどな。だとしたら陽子に力を借りるのが一番だよ。いいじゃん、2人で考えるプレゼントをお母さんにあげるっての」
ジェイはあっという間に解決策を出していく花を目を丸くして見ている。それはまさなりさんも同様だ。そして、当の浜田も。
「花! ありがとう、すっきりしたよ!」
「花、マイボーイ! 君はなんてすばらしいんだ!」
「花さん、すごい!」
口々に出る賛辞に、花はもやっとし始める。こういうのはあまり好きじゃない。哲平や蓮がいれば、(花が照れてる)と思うだろうが。
「だいたい浜ちゃんがしっかりすりゃいいんだよ。これから大黒柱だって分かってんの? 一家の主になるんだからさ、もっと自覚しなよ」
「大黒柱…… 一家の主…… 俺がなんの? それに?」
「ねぇ、浜田弘さん。結婚するってそういうことだと思うんですがね。しゃんとしろってこと!」
浜田の中で、結婚イコール『一家の主』という図式がピンと来ていなかった。だから花の言葉で舞い上がってしまった。
「俺、井上弘になるし」
「関係無いじゃん! じゃさ、陽子に大黒柱やらせる気? 男なんだから踏ん張れっつーの!」
「花、もっと素直に言ったらどうだい? 踏ん張れではなくて、頑張れ。そう言いたいんだろう?」
「……ま、そういうこと」
「花さんは大黒柱なんだね。太くて大きくて真っ黒の」
(お前さ…… それ、一歩間違うとアブナい意味になるぞ)
けれど花は賢いからそんなことは口にしない。この父の前で言える言葉じゃない。
「一家の主。浜田さん、カッコいいよ! 俺、なれないもん」
ジェイが一家の主、大黒柱になるところを想像して、2人は同時に吹き出した。
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