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「別に困るとか迷惑とかっていうんじゃないんだけどさ。ま、関係も改めて仕切り直しってことで」
笑った俺に、耀くんも安心したように微笑んだ。
「よかったら今度食事でも行かないか? 入学してすぐは忙しいかもしれないから、落ち着いてからで。俺の連絡先は変わってないけど、わからなかったら研究室に来てくれたら会えるからさ」
俺の気軽な誘いに、彼も是非、と嬉しそうだ。
耀くんは、以前とは少し型の違う気がする眼鏡の細いフレームを抑えながら丁寧に頭を下げて、いつも通りの静かな落ち着いた声で俺に告げる。
「それでは、失礼します。今後ともよろしくお願いします、……『むれぇ』さん」
どこか歌うような、懐かしい、あの……。
ああ、きみたち、は。
~END~
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