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「昼の終わりと同時に、耀はおれになる。切り替わる。完全に闇の世界では、おれは朔になる」
「……いつ、から?」
「ごく最近。耀の塾での成績が下がった、おそらくはそれが引き金」
成績が? 塾でのテストの結果は参考として全部見せてもらってるけど、下がったなんて……。あ!
「夏季講習明けのテストかな? 確か先月終わりだか今月初めに返って来たヤツ。下がった、って、……一位が三位だったか五位になったとかその程度じゃなかったか? 偏差値は特に落ちてないし、別に大したことじゃないのに」
もともと耀くんは、家庭教師なんて何故必要なのかってくらい優秀だ。
まあ最初に教授に聞かされたように、「年の近い相談相手」がメインだったのかもしれないけど。
「それが耀には『大したこと』だった。これ以上ないほどに努力を重ねて主席を維持して、神経が張り詰めていた耀に絶望を与えるには十分な」
そこまで?
俺にはそんな顔見せなかったのに。確か「また挽回します」って平然と。
……もうこれ以上、頑張れないってこと、か?
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