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別に教授は、毎日誰が研究室に現れるか残って熱心にやってるかなんていちいち見ていない。
いや、確実に興味ない。だから行かなくてもいいし、帰りたければいつでも好きに帰れるんだ。
自分の研究の段取りさえきちんとしていれば。
それが疎かだと、結局は自分の首を絞める羽目になるだけだからな。
普段は俺も、小島教授の目を気にして「今日はどうしよう」なんて考えたこともない。
一応、毎日研究室に顔は出してるし、家庭教師のバイトの日以外は遅くまでそこで過ごすことも多かった。
寝袋持参で泊まり込むことさえあるけど、それもあくまでも俺の判断だ。
ただ、今日はたまたま研究の方が一段落ついたところでもあったし、ちょっと思うところがあったからちょうどいいタイミングだったんだ。
俺は午後一の講義が終わると同時に、そのまま大学を後にした。
──日が落ちる前に。
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