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「僕が小学校に入る前に亡くなった父が、英深学院の中高から塔都大だったんですよ。小島の小父(おじ)さまとも大学で出会って、大人になってもずっと仲良くしてたそうです」 「ああ、そうなんだ」  小島教授と耀くんのお父さんが友人なのはもちろん聞いてたものの、詳しいことは知らなかった。  そういえば教授は独身だけど、年齢的にはもっと大きな子がいても不思議じゃない。  実際、今二十二の俺の親と同年代だもんな。もしかして、耀くんのお父さんは結婚が遅めだったのかも。  そんなプライベートなこと、少なくとも今は訊く気もないけど。 「僕は父とは、少ししか一緒に過ごせなかったので。物心ついてからほんの数年、しかも忙しかったから多分遊んだりした時間も短くて。顔も声も何もかも、実際の記憶なのか写真や映像を見て取り込んだものなのか、もう自分でもわからないくらい曖昧(あいまい)なんです」  俺はなんとも返す言葉がなくて、耀くんの顔を見つめることしかできなかった。
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