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「……母は僕が英深の中等部に落ちたときも、一言も叱ったりしなかったんです。『頑張ったのに残念だったわね。でも才華もいい学校だし楽しいわよ』って」  あのお母さんならきっとそうだろう。俺にはすんなり納得が行った。  耀くんが気にしていたように、教育ママだとか息子の将来を縛ってるとか言いたがる人もきっといたんだろう。子ども本人(耀くん)の耳に入るくらいに。  でも、俺にはとてもそんな風には思えなかったんだ。  俺が実際に接した耀くんのお母さんは、何より息子の希望を尊重したいって意思が窺えた。  だから耀くんが英深に行きたいなら応援もサポートも惜しまない、と塾に行かせて家庭教師も頼んで。  でも俺は、お母さんとしては公立中学に行って英深の高等部を目指すより、そのまま才華に入学して欲しかったんじゃないかとさえ感じたくらいだ。  さすがにお母さんだって、直接口に出すことはなかったけど。
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