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 席を立つ前に、耀くんはふと気づいたようにドリンクを手に取る。 「もう氷も溶けて薄まってるだろ。飲まなくていいよ。もし喉が渇いてるんなら新しく買い直そう。飲みながら行けばいいしさ」  俺の言葉にとんでもないと言わんばかりに身体の前で手を振って、彼はそれ以上口を挟ませない勢いでカップを空にした。  ぽつぽつと当たり障りのない会話を交わしながら歩いて、到着した公園に人影はない。  このあたりには公園や緑地が多いんだから、わざわざこんな何の取り柄もない、遊びも制限されるところを選ぶ必要ないからな。  入り口の、車両の侵入を防止するための曲線を描くポールを通り抜け、公園を囲うように伸びる植栽沿いに右方向へ二、三歩進んだところだった。  耀くんがいきなり立ち止まったのに、俺もつられてその場で足を止める。
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