【2】

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 公園の前で急ブレーキで止まった俺は、パーキングする手間さえ惜しくてその場に自転車を放り出す。  ごめんなさい。許して、今は!  ポールを縫うようにして公園に足を踏み入れると、あちこちに点在する大きな木の向こうに広がるのは、燃える空。  左右を見回した俺の目に、探すでもなく飛び込んで来た耀くんの姿。ベンチの傍の木の幹に、もたれるように立っている。  駆け寄る俺を見ようともせずにだらんと手を下げて、……その右手に握られているものが(あか)(にぶ)く光った。  ナイフの、刃が。 「耀く、!」  俺の声が引き金になったのかはわからない。  彼はこちらに目線さえ寄越さなかったから。でもタイミングとしてはそう思ってしまうくらいだったんだ。  耀くんはナイフを持った手をゆっくり持ち上げて、──自分の顔の方に持って行く。 「止めろ! オレを殺すのか⁉ お前も一緒に死ぬんだぞ!」  耀くんが叫ぶ。……耀くんの身体が、口が、……別の自我、が。
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