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   ◇  ◇  ◇  年が明けて二月。 「牟礼先生、本当にありがとうございました」  耀くんの英深学院高等部合格の知らせに急いで五十嵐家を訪れた俺に、お母さんは挨拶もそこそこに頭を下げてくれる。 「いえ、止めてください。僕の力じゃなくて、耀くんの元々の能力と努力の賜物(たまもの)です」 「お母さん、先生困ってるよ。もういいでしょ? 先生、部屋に来て!」  耀くんに腕を掴んで先導され、俺は彼の私室に向かった。  受験日に学校まで着いて行って見た限りでは、耀くんは俺よりよほど落ち着いていたし、終わった後も晴れ晴れとした表情だった。  あれは諦めて開き直った顔じゃない。十分手応えはあったって余裕の笑みだ。  だから俺は九分九厘彼の合格は確信してたんだけど、当然ながら結果が出るまでは安心できなかったからな。
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