みっちゃん

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ある日突然、ソレはあらわれた。 いつものように公園でみっちゃんと遊んでいた時。 気づけば、みっちゃんの頭には何かが生えていた。 芽が生えていたのだ。 みっちゃんは持っていたジョウロで頭に水をかけ続けた。 その日からみっちゃんの口数は減っていき、比例するように頭の芽は成長した。 芽の成長は驚異的で、一週間もする頃にはみっちゃんの身長と同じぐらいの木になっていたのだ。 葉っぱも沢山ついて黄色い蕾も付いている。 笑顔だったみっちゃんの顔は生気が抜かれているかのように、青白く無表情だった。 それでも成長し続ける気に水をやる光景はとても恐ろしかった。 怖くなったぼくはみっちゃんからジョウロを奪い取った。 その瞬間、時間が止まったかのようにみっちゃんは静止した。 ぼくがジョウロを持っていることに気づくと、みっちゃんは大泣きしたのだ。公園中に響き渡る大きな声でわんわん泣き出した。 目から涙は滝のように溢れ出ている。 頭の木はどんどん大きくなり、ぼくは怖くなり奪ったジョウロを投げ捨て走って家に帰った。
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