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05 Side 雪橋-2
『いいよ。雪橋なら、壊してくれても』
泣くのを我慢した潤んだ瞳で見上げられて、肌が粟立った。
伸ばされた指先が、俺に触れたいと言っている。
勝手に嫉妬して、八つ当たりで拘束までした奴なのに。
これから、泣いても叫んでも容赦なく犯そうとしている奴だというのに。
理玖さんは、嬉しそうに俺を見上げてくれている。
『粉々に砕いて、雪橋の好みに作り変えて?』
そんな事、できる訳がないじゃないですか。
だってもう、貴方はとっくに俺好みなんですよ。
頭のてっぺんからつま先まで、全てが好ましい。
少しぼんやりしているその性格も、感じやすい身体も、慣れていないと言いながら誘ってくる仕草も、理玖さんの全てが好きなんです。
笑っている理玖さんが好きで。
俺に向けられていれば尚のこと好きで。
俺だけを見て欲しくて堪らない。
『それで、また気に入らなくなったら、何度でも壊してくれ』
ごめんなさい、理玖さん。
そんな事を言わせて。
自分の方が経験があるからといって引っ張っていこうとしていたクセに、理玖さんを追い詰めるような事をしてしまった。
正直、壊したい気持ちはある。
だけど、理玖さんが言うように砕きたい訳じゃない。
抱き潰して、足腰立たないようにしたいという意味で……。
つまりところ、理玖さんが俺以外の奴で反応しないようにしたい、という事なのです。
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