05 Side 雪橋-2

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 定時で仕事を切り上げて理玖さんを連れ込んだホテルにて、俺は最愛の人がベッドの上で悶える様を堪能している。 「は、ぅ……っ、あ、あぁ、ん」  仰向けに寝た理玖さんは、肌蹴たワイシャツ一枚だけを身に付けて、開いた脚の間に潜り込む俺の指を受け入れている。  時折、咥えさせた指が良い所を掠めると身体が跳ねて何とも愛らしい。  腰の下に枕を置いているので、下半身を付き出すような体勢なのも御馳走様です。  両手首の拘束はまだ健在で、胸元に顔を埋める俺の後頭部辺りを不自由に彷徨っている。  その擽ったさに俺が煽られているなんて、理玖さんは考えもしないのだろうな。 「そこばっか……ヤ、だ。オレ、んぁ……女じゃないから、ぁ、何も、ない、のに」  抵抗とは言えない程度に身体を捩る理玖さんが、途切れ途切れに言った。  嫌がる素振りを見せるのは珍しいのでよほど嫌なのだろうと、舌で押し潰すように舐っていた乳首から顔を上げた。  理玖さんは「何もない」と言うけど、可愛い乳首がありますよ。  俺が散々舌で弄った所為で、色づいて、唾液でいやらしくてらてらと光っているものが。  理玖さんとこうゆう事をするようになってから、密かに開発を進めていた絶品の乳首ですよ。 「触られたくない?」 「……なんか、変、で」  纏められた手で顔を隠す理玖さんが、恥じらうように告白をする。  感じているのが恥ずかしいのだろうか。  だから、そういう仕草が可愛すぎるんですって。  しかも、手を縛られているのが倒錯的でエロさ倍増ですから。 「それ、気持ちいい、です」  耳元で、囁くように真実を告げた。  全身のあらゆる所で感じて欲しくて、丁寧に触れてきた。  特に、ツンと尖った胸の突起は弄ぶ俺の方も気持ち良くて、つい夢中で攻めてしまう。 「うそ」 「嘘じゃないです。気持ちいいですね」 「ヤ、ぁ……あぁっ」  理玖さんの身体の変化を見逃さずに、再び吸い付くように口に含んだ。  ゆくゆくは、乳首だけでイってくれたらどんなに可愛いだろうか。  今のように恥じらいながら、でも気持ち良いと涙を流して震える理玖さんの凶暴さよ。  あー、本人が目の前にいるのに妄想で甘イキしそうになった。  中に潜り込ませる指を増やしながら、身体の振動に合わせて震える理玖さんの性器に目を向けた。  透明な液が零れていて、思わず舐め取ろうと口を付けた。  じゅっと吸い付くと、理玖さんは「ひ……っ」と悲鳴のような声を上げて身体を捩った。  最初に中途半端に弄ってから、放置したままで辛そうだ。  一度出してあげたいけど、理玖さんの体力考えるとそれはそれで可哀想だし。  なんて事を考えながら自嘲した。  さっきまで、どれだけ「もう止めて」と懇願されても、奥に何度も注ぎ込んで何も考えられないくらいグチャグチャに凌辱してやろうと思っていたのに。  もう、理玖さんの体調を心配している。 「葉山さん、俺にして欲しい事あります?」  下心たっぷりに訊いた。  酷い事をしたい欲求はまだあるけど、それ以上に理玖さんの望む事をしたい。  今の理玖さんなら、エロいお願いをしてくれるに違いない。  「イかせて」でも「挿れて」でも、他の事でもドンと来いだ。  むしろ聞かせてください。  限界まで焦らされて必死におねだりする理玖さんも見たいけど、囁くように甘えられるのも捨てがたいんです。 「…………なまえ」  ぽつり、と理玖さんが呟いた。  予想とは全く言葉の違う響きだったので、反応が遅れてしまった。
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