第十一話 十七を探しだせ

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第十一話 十七を探しだせ

月曜日 「おーい」 「センタ、おは」 「早いね」 「おはよーあーあ?」 背伸びをするとあくびが出た。 来いと腕を引っ張られた先、掲示板。 そこには。 謎解きは済んだだろうか、答えをここに張り付けろ、正解者が出ないときには、誰かが犠牲者となる。 タイムアップは、午前十時、健闘を祈る。 「これは・・・」 俺はスマホを出した、先輩、早く出て。 「おは」 「先輩、犠牲者が出た!」 周りにいる者たちが一斉に俺を見た。 どうしたという、掲示板にメモが張ってある。 どこのだ! 職員室前。 今から行くという。 「どういうことだよ」 「犠牲者って何?」 ざわざわと人が集まりだしてきた。 ガラッとドアが開いた。まずい、俺はスマホで写真を撮った、センタも出して取った。 「何を騒いでる!」 生活指導のカナゴン、彼が金田だ。やべーよ。 「何だこりゃ、誰だ、こんないたずらしたの」 バリッと破きとった。 恐れていたことが起きた。 ばたばたと走ってくる音がして。 「誰だ!ろうかを走るのは!」 キュッとズックの音がした。 「ほら、立ち去れ、職員室の前だ、教室に戻れ!」 ざわざわと生徒たちが散らばる。 「一馬!」 先輩は階段の陰に隠れていた。 「見てください」 「職員室とは考えたな」 「どういうこと?」 「ここに貼っておけば、誰も手を付けられない、だから十時を待つ必要はないんだ」 「それじゃあ犠牲者って」 「それを探さなきゃ」 俺と先輩はやばいと思った、もう犠牲者が出ている。そう思えた。 「まじかよ、どこ探すんだよ」 「あてはあるの?」 「まさか?十七?」 「一馬、俺はクラスのみんなに頼む」 「俺も」 「おい、なんだよ!」 「教えて!」 「一馬!」 「クーラーボックスだ!見つけたら開けるな、触るな!スマホで連絡をくれ!」 「よっしゃ!」 「どこ行けばいい?」 「運動部!更衣室行こう!」 俺はクラスの扉を開けた。 「みんな掲示板見たか?」 何人かが見たという。 俺はなんで職員室の掲示板にわざわざ貼ってあったのかを話し、もう、誰かが犠牲になっているかもしれないことを話した、そしてクーラーボックス、それも大きめのを探してほしいと頼んだのだ。 「キーワードは十七、何かに関係してると思う」 「よし行くぞ」 「授業が始まる前には戻ってこい、触んなー、絶対だぞ!」 そして。 「静かだな、授業はじ…は?どこ行った!」 クラスはもぬけの殻。 ダブリンの褪せる姿が目に浮かぶぜ。 そして、俺たちはそれを見つけた。 「呼んできた」 「みんな教室に戻りなさい」 「何かあるといけないから、すぐに戻れ!」 「先生、警察は?」 頼む必要はないという先生方。日向先輩は、カネゴンの耳を引っ張った。 「それ本当か?」 「本当だったらどうしますか?」 「日向、お前」 「疑う前に、匂い嗅いでみてください」 「匂いだと」 近寄っただけでものすごい匂い。 「先生、頼む、警察を呼んでくれ」 「お願いします」 ばたばたとほかの先生たち、校長先生も集まってきた。 「どういうことだね」 「この中には、何らかの死体が入ってると思われます、今、金田先生が警察に通報しました」 死体だって!ざわざわする人たち。 「すぐに来るそうだ」 「女性の先生方は戻ってください、ほかの先生方も」 「お前らも戻れ」 「俺は」 「一馬、戻るぞ」 「先輩」 指をさした。 「これ!」 十七の数字、俺は正しかった? 十七番教室、調理準備室。クーラーボックスがあってもおかしくない。 ただ、今の時期、ここを使う生徒はいない、先生も、見回っていない。 「きたぜ」 「すごいな」 警察車両が次々と校舎の前に置かれていく。
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