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「ブッ…クク…流石だな…」
「わんちゃん、わんちゃん」
真澄の言葉を聞き、可笑しそうに笑う要と司。
が、匡は怒りもせず呆れた顔で二人を見た。
「…ま、良いけど…そうだね~、今は『当たらずとも、遠からず』と言っておこうかな。
おいおい、話してあげようね」
目の前に差し出された、大きな手。
「クラスメイトの“よろしく”の挨拶の握手だぜ?
これなら良いだろ?」
要達に目を向けつつ、真澄に笑顔を向けて来た。
清水寄りの厳つい、意思の強そうな顔立ち。
フワフワの見た目から柔らかそうな黒髪に、黒曜石の様な瞳。
「はいっ!よろしくお願いします!」
「食いつき良いな」
「俺達の時だって、こんな事ね~」
差し出された手を速効で握り返す。
と…左右から拗ねきった声が聞こえて来た。
「何だ、お前達。図体は一人前のクセに、ガキみてぇに拗ねやがって。
好きにさせてやってるんだ、それぐらい我慢しろ」
二人の様子に清水は可笑しそうに笑いつつ、声を掛けてくる。
「「はい…」」
拗ねたままであるが律儀に返事をする二人に、他の生徒達は俯き肩を震わせていた…
「でもイイや、部屋は隣同士だし」
「そうだな」
司の言葉にドヤ顔になる要。
「…晃に聞いてたけど…
お前等さ、一体、何を競ってんの…」
要達の顔を見た匡は呆れた顔で溜息をついた…
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