出会い

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出会い

入学式も既に終わってしまった、5月。 時刻は8時… 登校する在校生に混じり、一見、女の子と見紛う程華奢な男子生徒が母親と供に校門をくぐって行く。 正面玄関に入った二人は、窓口を覗き… 母親が中の事務員とおぼしき中年の女性に声を掛けた。 「すみません…今日からお世話になる、齋伽です」 「伺っていますよ。そこを上がって右側に入り口がありますから、お入り下さい」 感じの良い笑顔で女性が入り口を差す。 (良かった…窓口に女の人が居る…) 親子はホッとした顔で互いを見合った後…事務室へと入って行った… 「少し、お待ち下さいね。 今、担任の先生を呼びましたから」 応接台へと案内され、3人掛け位の大きなソファーに母親と並んで生徒は腰を下ろした。 (頑張らないと…これから、始まりなのだから…) 生徒の膝の上に置かれた両手は拳を握り絞め、震えている。 「覚悟はして来たのでしょ? …頑張りなさい。今日から始まりなのよ?」 「…うん…わ…僕、頑張るよ…おばあさまとも、約束したもの…」 小声で会話をしていると…扉が開き、30代位の男性が入室して来た。 「お待たせしました。担任の森渉です。宜しく」 180cm以上はある長身だが、笑顔に優しさを感じさせる為か威圧感はない。 (ハーフ?髪の色とか、瞳の色が…) 淡い髪の色に琥珀色の瞳。 顔立ちも整っており、柔らかな印象を持たせている。 差し出された大きな右手を男子生徒は手を僅かに震わせ、握り返した。
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