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「うん、良く頑張ったね」
教師は胸ポケットからメモ帳を取り出し見せてくれた。
その内容とは…
『齋伽真澄君。君が“女の子”で、14歳である事を知るのは、私と保険医のみです。
知られない様に、この事は口に出しても、紙に書いてもいけないよ。
“壁に耳あり障子に目あり”だからね』と、あった…
女子で、高校に入学する年齢に満たない真澄が敢えて男子校に入学する事となったのは…
彼女が6歳の時、母親が再婚した。
相手には当時16歳の息子が居た。
“年の離れたお兄ちゃん”は、大変な可愛がりようであった。
が…その兄の愛情表現は、世間一般では“虐待”と呼ばれるもので…
巧みに隠され続け、真澄が12歳の誕生日の夜、命に関わる大怪我を負うまで両親に知られる事は無かった…
異常な行いにより、兄は刑務所へと送られ…
父親は息子の出所した時を考え、母子に高額な慰謝料を支払い祖母宅へ帰る様に諭した。
兄による長年の虐待により、心にも大きな傷を負ってしまった真澄は“パニック障害”と“男性恐怖症”となってしまった。
2年に及ぶカウンセリングにより、何とか一人で外出できるようにまで回復した頃…
義理の父親であった人より一通の手紙が送られてきた。
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