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4年後ーーーー。
私は18歳になった。あれからずっと、声を失ったまま生活をしている。
あの日から私は父方の親戚に預けられた。
「愛子ちゃん、大変だったね。今日からここが君の家になるんだよ。遠慮しなくていいからね。」
親戚達は、全てを失い、声さえも失った私をとても気遣ってくれた。
だが、その気遣いはいつからか、腫れ物を触るかのようなものになっていった。
それは決して気持ちのいいものでは無いが、申し訳ないと思いながら生活をしている。
その家には同い年の娘、由香もいた。両親の前ではとてもいい子で、私にも「愛ちゃん」と呼び、仲がいい振りをしていた。
だが、両親が見ていない所では、、、。
「愛子、あんたいっつも辛気臭い顔して!母さん達に同情されようとしてるの分かってるんだから。マジうざい。」
最初、由香はそんな嫌味を言ってくる程度だった。
だが、私が特に堪えてないので、歳を追うごとにエスカレートしていった。
そして、現在は由香の男友達に殴られるようになった。
「この子、声でないからいくらでも、殴りな」
顔はバレるからそれ以外でと。
自分を1番に見て、可愛がってくれていた両親が、私ばかりに気がむくのが面白くないんだろう。
こんな事されても仕方ない事だと思った。
彼女の日常を奪ったわけだから。
全てを亡くした私は、ぽっかりと心に穴が開いてるので、どんな暴言を言われても何にも感じなかった。殴られるのは痛いけど、いっその事殺してくれとまで思うようになっていったのだ。
そう、殺してくれとーーーー。
その願いがいよいよ叶う時が来た。
いつものように由香と男達に、体育倉庫に連れてこられた。
男の1人が私のお腹に蹴りを入れ、私はその場に倒れる。そこから、顔以外の身体に蹴りを入れる。
何発も。
私は痛みに顔が歪むが、目は虚ろ。
その目を見た由香は、頭に血が上る。
男達に、どいてと言って、愛子に馬乗りになる。
「あんた、ほんと、要らない!死ね!」
そう言いながら、愛子の首を絞めた。
私は意識が遠のいていく。これで私は死ねる。
お母さん達の所に逝けるーーーー。
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