第三章

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颯は、自宅の自分の部屋で思いを巡らす。 愛子は颯達が経験をしてないような苦労したのだろう。 だけど、一輝と愛子が徐々に距離を縮める過程を見なくて済むと思うと、ホッとしていた。 きっと、一輝は彼女の事を諦めるだろう。 決して、颯の気持ちが一輝に届くわけではないと思っている。 だけど、落ち込む一輝を慰めてやろうと思った。ずっと一番近くで風香よりも一輝を見てきたのだから、それができるのは颯だけだと思った。 まだ、一輝の隣に自分がいれると、嬉しい気持ちになったのだった。 風香と唯斗は、唯斗の家の畑を眺めていた。 風香が泣き止まないので、外に連れ出したのだ。 颯が、風香達を見向きもせず、風香を慰める様子も無かったからだ。 「私、本当にバカだった。愛子に、沢山酷いこと言った。おまけに、愛子の曾お祖母さんだった広江を殺したのは愛子だなんて、、。本当にバカよ。自分の気持ちを優先して最低だ!こんな私大っ嫌い。」 唯斗は、風香を抱きしめる。 「愛子は、お前の事嫌いになってないはずだぞ。だってお前にだけ連絡を寄こすって言ったろ?それにな、俺はどんなお前でも、好きだ。世界中が敵にまわっても俺はお前の一番の味方だし、ずっとずっと好きだ。」 「あんた、そんな事言うキャラだった?」 「おうよ!本当はこんな真面目な奴だったんだ!」 風香はまた吹き出してしまった。 唯斗は、風香の身体を少し離し、顔を近づける。 そして、そっと風香の唇にキスをした。風香は目を瞑りそれを受け入れた。最初は軽く、触れる程度のキスで、風香が少し口を開けると唯斗の舌が風香の舌と絡み合う。段々深くなるキスに、風香は力が入らなくなっていく。唯斗は、風香の唇をペロッと舐めて、顔を離した。 「あーーー!風香の気持ちを聞きもせずまだやっちまった!この前もそうだけど、風香もどうして受け入れたんだ?」 風香は、少し顔を赤くして、下を向く。 「だって、あんたが一瞬カッコよく見えたから、、、」 「え?」 「だから、あんたが一瞬だけど、カッコよく見えて、いいなと思っちゃったの!!!じゃないと、この前みたいにあんたに抱かれたりしないわよ!」 風香は、唯斗の顔を上目遣いで見つめた。 「あ〜もう、その顔反則!」 唯斗は、風香にキスをした。今度は軽いキスだった。 「あ!ヤバい!蒼兄ぃに殺される、、、」 風香は思わず吹き出してしまう。 「まぁー頑張ってよ。」 唯斗は、笑って風香を抱きしめた。
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