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理科準備室
「それでぇ〜どんな特別授業するんですかっ!!!」
颯は、不貞腐れながら、理科準備室の奥に置かれている黒く、硬いソファーにドカッと座る。
そのソファーから少し距離をあけて、職員用机が4つ程縦並びにある。その上には荷物や書類が高く積み上げられていた。
颯は、こんな所で授業てなにやるんだ?とイラつく。
教生は、1箇所だけ綺麗に片付けられた机の上に、カバンをおき、その中から1冊の分厚い本を取り出した。
「これを読んで、その感想や考察を私にして下さい
。」
「ハイハイ、読めばいんですね!読めば!」
颯は、その本を乱暴に取り、読み出す。
教生は、自分の机に向かって仕事を始めた。
それから、30分程経った。
「センセー読めましたぁ〜!」
教生は、颯にみむきもせず、書類に目を通していく。
「どの辺まで読みました?」
「は?全部だけど。」
教生は驚いて、颯を見た。
「30分で全部!?」
「そうだけど?なに?」
教生は、自分でも読むのにも苦労したこの本を30分で読んだだと、信じられなかった。
「じゃあ、君の考察は?」
「あー、この75ページの3行目に書かれてるーーーー」
教生は更に驚く、颯は本を閉じたまま、その文章が書かれたページ、行、それに一語一句間違わずに全て覚えていたのだ。
そして、颯はその考察なども的確にスラスラと言ったのだった。
「ははは」
教生は、突然笑い出すので颯は教生を睨む。
「何?なんか間違ってる?」
「いえ、君が私のように、優秀だと校長が言ってたものですからおかしくて。君は、私より何倍も優秀過ぎます。天才ですね。」
「天才かどうか、知らないけどー。そんなもんどーでもいい。」
「それは勿体ない、宝の持ち腐れですよ。」
「知らないよ!」
「興味あることや、したい事はないんですか?」
「別に〜、楽しく過ごせりゃいいよ。一輝と一緒なら尚更楽しいね。」
「一輝君ねぇ〜。君は、彼といつも一緒にいるんですか?休み時間にも君たちを見かけましたが。」
「そだよ?仲良いんだよ。幼なじみで、ずっと一緒。」
颯は、嬉しそうに笑う。
「これからもずっと一緒だよ。」
「本当に?」
教生は、颯に問いかける。
「一輝はどう思っているんですかね?それに、大人になって、ずっと一緒に近くにいるって事は難しいんじゃないですか?恋人や家族なら話は別ですが。」
颯は、教生の胸ぐらを掴み、睨む。
「お前には関係ない事だろ。ほっとけ!」
颯は、誰にも見せた事のない怒りを教生にぶつけた。
そして、勢いよく、準備室を出た。
「そんなの分かりたくない。今は……」
颯は、顔を歯を食いしばり顔を歪ませ走ったのだった。
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