第四章

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颯は、驚く。自分はゲイだと他人に普通に言えるものか? しかも何で俺もゲイだと分かったのだろうか。 一輝に振られたのだってーーーー。 「何で僕がゲイだと思ったの?あと一輝の事が好きだって思ったの?」 「あ〜、ゲイ同士ってなんとなく分かるもんなんだよ。それに、お前が一輝君を見る目は好きだと言ってる。お前と一輝君が一緒にいる所みただけで、ピンときた。」 「僕、そんなに分かりやすい?」 颯は戸惑う。 「いや、うまく隠してると思うぞ。俺にはその嘘が通用しなかった、ただそれだけだ。」 「何それ。なんか悔しいな。僕、色んな自分の気持ちを人に隠すの得意だったのに。いつもニコニコ笑う僕の事、皆何考えてる分からないってよく言ってるんだよ?」 「そうか?俺はお前を見ていると、苦しくて苦しくてしょうが無いって見えるけどな。」 颯はえっ?と教生を見て、また涙が溢れ出す。 "そんな事初めて言われた" 教生は、タバコを携帯用灰皿にすり込ませながら入れた。そして、身体を颯の方に捻り、颯との距離を詰める。 「俺がそんなお前を慰めてやろうか?」 颯は、教生をただ見つめる。 「慰めるって何してくれんの?」 教生は、颯にキスをした。ただ触れるだけのキスを。 顔を少し離し、颯を見つめる教生。 「こういうの。」 教生は颯の返事を聞かずに、またキスをした。 今度は少し長めの触れるだけのキスをした。 颯は、息ができないと顔を離し、口を少し開けて息をした。そんな颯に教生は微笑んで、また口付ける。 今度は、自身の舌を颯の口に捻りこませる。颯の舌と絡めせ、歯列をなぞり貪るような深い口付けをした。 颯は、背筋に電流が流れるような感覚に陥って、段々力が抜けていく。 教生はそれを知ってか知らずか、片手を颯の首をなぞって後頭部を支え、もう片方は颯の腰に回し、強く抱きしめる。 暫くして、教生は颯の唇を離す。颯は、目を潤ませ頬が赤くなっていた。 颯は、「もっと、、、」と言って、今度は自分から教生にキスをした。そんな颯を教生は受け入れ、深い口付けをしたのだった。 颯は、初めて本当の自分を見てくれる人間に出逢えたことが、嬉しかった。
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