終章

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あれから4年の月日が経った。 愛子は、故郷の総合病院で看護アシスタントとして働いている。 一輝の家を出る時、一輝の父からこの病院を紹介して貰っていた。 ただ、採用にあたり高卒以上が絶対条件だった。 それで故郷に帰って直ぐに高校卒業認定試験を受け、合格。 それからずっとここで働いているのだ。 年々、故郷は少しづつ復興して行った。流れゆく時代を故郷で過ごしこの街がどう変わっていくかーー。それを見届けるのは悪くない。そう心から思え程、愛子も成長した。 愛子は、故郷の海と街をあの高台から見下ろしていた。あの日は、絶望と不安しかなかったが今は違う。 ーー♪ 携帯の着信音が鳴った。 着信画面には、風香と表示されていた。 「もしもし」 「愛子久しぶり〜!元気?」 「うん、元気だよ。」 「明日の私と唯斗の結婚式、ぜっっったい来てよ!!」 「うん、分かってるよ。」 「絶対だからね!!!」 「うん、明日楽しみにしてる。」 風香とは、故郷に戻り愛子から連絡をした。お互い誤解していた事や謝りたいことなど沢山話した。 それから頻繁に連絡を取り合っている。 明日は風香と唯斗の結婚式。 唯斗が蒼太に4年かけて、頭を下げ続けやっと認めて貰えたそうだ。 皆も出席すると聞いてるから、久しぶりに会えるのが楽しみだ。 特に一輝には会いたくて堪らない。この街で流れ行く時代を過ごすのも悪くない。けれど、一輝が好きという気持ちが年々募っていた。あの時の返事をちゃんとしたいと思っている。
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